池田菊苗を30秒で知ったかぶるためのガイド。1908年に昆布のだしから『5番目の味』を取り出した化学者。舌にうま味専用の受け皿が見つかって決着したのは2000年、92年後のことだ
🍳 料理
1864-1936
池田菊苗(いけだ きくなえ)
📌 30秒で分かる中身
京都生まれの化学者。帝国大学(現・東京大学)で化学を修め、1899年からドイツのライプツィヒでオストヴァルトに学んだ。帰りに寄ったロンドンでは1901年、数か月のあいだ夏目漱石と同じ下宿で暮らしている。漱石は後に、この出会いが自分の文学研究の組み立てを変えた、という趣旨のことを書いた。1907年、妻が買ってきた昆布をきっかけに、だしの味の正体という長年の疑問に取り組み、翌1908年2月に煮汁からグルタミン酸の塩の結晶を取り出す。甘・酸・塩・苦の四つとは別の味だとして「うま味」と名付け、同年4月に製造法を特許出願、7月25日に登録された。1909年、鈴木三郎助がこれを「味の素」として売り出す。
✅ 使える知識
ラーメン・だし・和食の話題、外国人に日本食を説明する場面で強い。「umami」が翻訳されずそのまま英語になった数少ない日本語だという話は、寿司や照り焼きとは違う驚きがある。夏目漱石のロンドン留学の話題からも入れる。
⚠️ 注意点
「味の素を作った人」と紹介すると半分外れる。池田は見つけて特許を取った側で、会社を作って売ったのは鈴木三郎助のほうだ。「うま味は昆布の味」と言うのも狭い。かつお節のイノシン酸(1913年、小玉新太郎)、グアニル酸(1957年に国中明がうま味を持つと発見、のちに干ししいたけの成分と判明)も同じ仲間だ。
💣 これだけは言うな地雷
「味の素は化学調味料だから体に悪い」を池田の話とセットで言うのが一番危ない。1968年にアメリカで報告された「中華料理店症候群」は、その後の二重盲検の試験で症状との因果関係が確認できず、米FDAは食塩と同じくGRAS(一般に安全と認められる)の扱い、FAO/WHOの専門家会議も1987年に一日摂取許容量を「特定しない」としている。ただし逆に「だから絶対に安全だ」と言い切るのも科学の言い方ではない。「きちんと調べたが再現しなかった」までにしておくのが無難。
🕰 同じ頃を生きた人
